僕の諭吉おじさん
小学二年生の陽太は、母親から唐突に一万円を渡される。「これあげるわ。好きなもの買っていいわよ」。困惑と高揚。大金を手にした陽太は一つの結論を出す――。時は流れ、陽太はとある事件によって、逃れられない呪縛を引きずり生きていた。葛藤しながらも、彼の抱える闇と向き合おうとした同級生の春樹。事件をきっかけに無気力となった陽太を見守り続けた祖父の雄二。そして、偶然に入ったパン屋で出会った陽という女性。彼らの存在が、歯車を思わぬ方向に動かし始めた。闇の中で見えなかったもの。陽との出会いによって、陽太は再び過去と向き合う決心をする。全ての引き金となった、諭吉おじさんの過去と。
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